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消費税の苦い思い出

消費税.jpg 消費税が8%になるのも目前に迫った。翌年には10%になる。
仕方がないのかも知れないし、収入はあがるのだともいうが…、こっちは就職すらできてない状態なので“弱り目にたたり目”というところだ。

私の近所の商店街組合でも、値上げか価格据え置きで増税分を負担するかの話し合いが続いているようだが…、
ついついレジとか(今は簡単に対応できるシステムになってるだろうけど)価格表示の変更とか“売る”側の事も気になる。

…というのが、消費税が誕生した時に苦い思い出があったからだ。
ちょうど、私がビデオレンタル・書店のチェーン店に新卒入社して3年目になろうとしていた1989年。
 店の金庫の金を持ち出して失踪した社会人最初の上司から、わずか2年の間で私の7人目の上司になるS店長がやって来た。
この頃になると、同期入社20名のうち、半数近くが会社を去っていたが、既に私には、“社内一上司運のない男”という称号が囁かれはじめていた。

 7人目の上司S店長は元々本社のブロック長をやっていた人で、入社時の研修講師だったが、妙に高圧的な態度で話していて、あまりいい印象はなかった。
S店長は赴任するなり、挨拶も打合せもなく、不機嫌そうに事務所にひとり閉じこもって何かしているようだったが、私とも後輩社員ともパート・アルバイトとも馴染むことはなかった。

少し経った時、そのS店長から「風邪で休む」と電話があった。
横で古株のパートが「風邪で休む店長なんか初めてや。」と吐き捨てた。
…が、翌日から連絡がないまま、S店長は出勤して来なかった。

店の稼動計画から、(レンタル担当だったので)やった事のない本の発注など、店長不在のまま一切の切り盛りをする羽目になった。。 
しかも…。ちょうど消費税導入により、店にある本や商品に税込価格だか税抜価格だかをラベラーで打ち込む作業があった。
新入りの後輩社員と数日にわたり徹夜で作業した。
ストッカーの奥からS店長が発注したと思われる売れそうもない美少女モノとか、何かオタクっぽいコミックやら文庫が大量に出て来た。 …怒りがこみ上げた。

2週間くらい経った頃、本社にも事態を知らせぬままだったが、そろそろ社員の勤怠の〆もあったので、S店長に電話し「その後、体調はいかがですか?」と切り出した。その答えは耳を疑うものだった。
「もう体調はいいんやけど、何かサボリ癖がついてしもてなぁ。」 心の中では「ハァ?」と思ったが、「……そうですか。。。」と冷静に答え、勤怠の〆のため、閉店後にとりあえず店に来てもらう事になった。

 その日も我々は夜を徹しての棚卸作業があったが、S店長はやたらと晴れやかな笑顔でやって来ると、勤怠報告書に休んだ分をすべて有休にして「無責任艦長タイラー」とかいう本を数冊買い込んであっさり帰ってしまった。 後輩社員が「無責任店長S…」とつぶやいた。
もう怒る気もしなかった。S店長に会ったのは、それが最後だった。
 
S店長の上司でもあるFブロック長から後日「Sにはもう何を言ってもしょうがないから…」とこの件やら、店舗の不備やらコッテリ絞られた。
当時はそれもただ理不尽としか思えなかったが…。
今にして思えば、このS店長も店へ左遷されたような気持ちやら、いろいろなプレッシャーや悩みがあり、精神的に苦しかったのかも知れない。

この時の私には、若さもあっただろうけど、上司の辛さを理解する度量とか優しさに欠けていたのだろう。。
私は意外にも上司とか上の人への追従やアピールとかを潔しとしないところもあり、それからも、悪気はないのだが目上の人にはどこか淡白に接して来た。
しかし、消費税というキーワードで何かその時の苦さが年を追うごとに強くなる。「私から手を差し延べることはできなかったのか?」
 年を取るたびに…、弱くなって来たのかなぁ。。 (宮本)

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