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職業的お祈り

謝罪.jpg ここ数年、私の仕事の半分くらいを占めているのが採用担当である。
最近は、成功報酬制の紹介会社を50社ばかりも利用しているので、ある程度フィルターでふるいに掛けられた応募者を紹介してくれるにしても、年間にしてその数約800人になる。

 かなり稀な人材を求めてるいる事もあり、それでも99%は書類選考でお断りする事になる。
その後、面接を経て採用になるのは、年間せいぜい3人くらいだから、0.5%未満の確率である。

 …で、私は年間797人に「…末筆になりますが、○○さんの今後のご健闘をお祈りします。」という取ってつけたようなお祈りをしなければいけなくなる。
もちろん、紹介会社には、その人の何がNGだったのかを説明しなくてはならない。
担当部署には、コメント欄を設けたフォーマットで提出しても、回答は「×」でしか返って来ない。
技術者のレベルは正直、自分ではわからないので、それを説明するのも四苦八苦ではある。。。

要するに採用担当の大半の仕事は“お断り”する事である。
しかし、ここが重要なところと思っている。
残念ながら、縁がなかった人への会社としての誠意、選考内容を次の選考に生かす事…、
それにここをきっちりやらないと、紹介会社との信頼関係も次もなくなるからだ。
 週末には、十数人の処理を行なうので、メール送信の際は「ゴメンね」とは心の中で言ってるが、あまり感傷的になっても、こっちの身がもたない。

 この仕事を担当した時分は、特に面接や試験などで、本人と話すと、情もわくし、紹介会社の営業担当にも申し訳なくて、お断りするのはすごく辛い作業だったが、、、

ある時分から、考え方が変わった。。
採用した人が活躍してくれれば、私も嬉しいが、それだけの確率をくぐり抜けて、採用されたにもかかわらず、力を発揮できなければ、残念ながら、その人は、短期間で会社を去って行く場合もある。そうなると、本人も会社も不幸である。

「人間万事塞翁が馬」というと少し大げさだが、採用という幸運が、不幸になる事もある。
…であれば、採用=幸運という図式も成り立たないわけである。
採用しない事が、その人の幸運かも知れないと思うようになった。
 だから、“お祈り”は、決して取ってつけたものではないつもりだし、ささやかな矜持でもある。

 しかし、私の会社の書類選考が厳しい事は、かなり有名になってしまった。。
もし、私が今の会社をクビになって、就職活動をしなければならなくなった時??
「どの面下げて来た?」と言われそうで、怖くて紹介会社には頼めない。。。 (宮本)

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