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「労働移動支援助成金」って誰得??を考える

労働移動支援助成金の拡充案①.jpg 今は「集団的自衛権」「憲法改正」など大きなことでザワザワしとりますが、私はもう少し小さく、自分に火の粉が降りかかりそうなことを考えてみようと思う。。今日はまずそのひとつ

今年の3月から、「労働移動支援助成金」というのが、その対象を大企業にまで広げられる。(…られた??)

企業がリストラする人に退職金を割増したり、1年分くらいの給料(まぁ手切れ金やな…)を出したりすることがある。
そのひとつとして、人材紹介会社を使って次の就職先を探す支援をするというのもある。
通常、人材紹介会社は登録している求職者と求人している会社をマッチングし、入社させることができると成功報酬として、その人の年収の25%~35%程度を企業より受け取ることを生業としている。
つまり、企業は年収500万円くらいの人をこの方法で雇用すると、150万円前後を人材紹介会社に支払うことになる。

しかし、この話の場合の紹介会社は元いた企業が依頼をかけるパターンで所定の成功報酬により次の就職先を探すことになる。
成約した場合、その社員を雇用した企業は費用が掛からないという仕組みだ。
中小企業では、今までもこれらにかかる費用を助成してもらえたのだが、私が求人側企業の採用担当として、このパターンの紹介会社を利用した際に大企業以外でこの支援をしていた企業を見た覚えがない。
要するに前提として大企業はこの助成金がなくてもこの支援を実施していたし、中小企業は解雇する奴にそんな支援をしないのだ。

それでは、どうして大企業はこうまでしてリストラするかといえば、この成功報酬を払おうが、割増退職金を払おうが、今、辞めさせた方が将来的にみてコスト削減になるからに他ならない。

…で、「労働移動支援助成金」とは、この成功報酬として掛かった費用の3分の2を助成、たとえ再就職先を見つけられなかった場合も10万円を支給するという制度だ。そして、巷では別名「リストラ支援」と呼ばれている。

どうもパっと見て、何の役に立って誰が得をするのかよくわからない。
業績が悪く、人が余っている業界に人員整理を促し、人手不足となっている「成長産業」に労働者をシフトさせることを目的としているらしい。
なるほど、大企業で年取って、給料バカ高くなったおっさんを、、“人手不足の「成長産業」”…つまりちょっと色の濃いとこへ「労働移動」させて、「みんな幸せになりますよ」ってことなのだが、キムタクでなくても「ちょ、待てよ」と言いたくなる。

何かがおかしい…感じがする。
大企業は「うちでは不要になったけど、中小企業では主力になりまっせ!」っていうことか。。
そしてリストラの裏では浮いたカネと助成金でチャッカリ若手の採用は行っている。
一方、“人手不足の成長産業”は「金払ってまで捨てられた人材なんかいらんわい!」というのが本音で優秀な若手が欲しいワケだが、優秀な若手は前述のように大企業がさらっていき、採用しづらくなる。

採用の際に感じたのは、大企業出身の人は小さい会社に入るのを不安に思う人が多い。
ずっと小さな企業で明日のわが身を不安に思いながら、崖っぷちを歩いてきた私には理解し難いところもあるが、大船に乗って来た人にとっては、小さい会社の“いろいろ”は、“カルチャーショック”を受けるようだ。 
せっかくいい所に居たのに「大変だな…」と同情したものの、、今まで我々よりずっと高収入で辞める際の待遇もいいのだから、もっとかわいそうなのは裸一貫で野に放たれた我々ではないか。
しかも、こういう血統のいい人たちが、ただでさえ獲物の少ない私たちの狩場へどっと来てしまうのだ。

ザッケローニ監督は「同じ実力なら若い方を選ぶ」と言ったが、、
若い人を採れなかった中小企業は仕方なく「どうせおっさんなら、いい企業出身の人を選ぶ」となるのが世の常人の常。。
ん?この助成金、めぐり巡って、損をするのは私のような中小企業からはみ出たおっさんのようだ。。

世間では得をするのは紹介会社ということになっているが、元から大企業はこういう支援をやっていたわけだから、得をするのは、税金使って血の入れ替えができる大企業ってことになるのでは?? 施策の発想の出所が何となく見える気がする。
「大企業がよくなれば、他も徐々に潤うのだ。」と言われれば、そうかも知れないが…。

大企業でリストラされた社員は、同年代の私からみれば、相当な高年収をもらってきている。
だから、生産性が低くなっているのだ。 そしてそのしわ寄せが中小企業やその労働者にくる。
であれば、リストラは、、解雇してしまうのではなく、そもそも年功序列を構築しなおしたらどうかと思うのだ。
たしかに40歳、50歳になれば、一部を除けば、気力、体力、知力とも衰えてくる。
一部の責任の重い人は除き、原則として40歳をピークに給与が今度は下り坂になっていく方法が自然な気がする。
もちろんバリバリの人は例外とし、給与ダウンが不満ならFA宣言すればいい。 
カネが欲しいギラギラしたのが「成長産業」ってやつに勝手に移動すれば、めでたしめでたし見事マッチングだ。
(そんな高給を出す「成長産業」は何だかキナ臭いが…) あぁ美しい国になるなぁ。。。(宮本)

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2014年05月20日
コメント
name.. :記憶

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